会社員などが会社などで働く就業時間は、個別の雇用契約や労使協定などによって具体的に規定されている。会社も私的な団体であるから、契約自由の原則の下に、労働者と自由な内容の契約を結ぶことができる。
 
もちろんこの場合、会社と労働者は、対等な立場に立っていることが原則だ。しかし、実際には雇用者である会社側の方が力が大きいものとなっている。そのため、どうしても内容において会社側に有利な内容になってしまうこともある。

明らかに労働者に不利となるような契約や協定の内容は、無効なものとなるのが原則だ。一方、このような書面として整えられているものとは別に、実際の就労の場面で、労働者に不利な運用がなされることもある。その一つがみなし残業だ。
 
残業については、法律のレベルで、その取り扱いについて規定されている。しかし、作業量の多い現場では、必ずしも規定どおりの運用ができないことも少なくない。この際、多少の柔軟性は許容される。また、労働者自身の判断で、労働時間を調整することは、本来問題が少ない。雇用者の側から、労働者に不利な内容の調整がされるときに問題が大きくなる。
 
形式的には労働者の判断でも、事実上の強制の場合も考えられる。そのようなみなし残業の際には、本来の残業の法令あるいは規定に立ち戻って、残業時間の取り扱いを行うことが必要だ。
本来残業時間の計算に基づいて、残業代などの請求を行うことで、労働者としての地位を安定なものとすることが大切なのだ。